Youtubeなどで日本人レスラーの海外での試合が容易に見れるこの時代、その試合の入場シーンを見てみると
・・・いつものテーマ曲と違う?
そうです海外で試合する時は諸般の事情でテーマ曲が変更されるケースが多々あるのです。実際に聞いてみると違和感が半端ないものから意外と合っているものもあって実に興味深いことになっています。
そんなことで今回は
日本人選手の海外での入場テーマ曲を特集。
第1弾の今回は闘魂三銃士をフューチャー。
武藤&橋本&蝶野 |
武藤敬司
・Orlando Kimber & John (Jon) Keliehor - 「LUMINOUS FORCES 1」1989年にNWAマットでグレート・ムタとして使用したいわばグレート・ムタの初代テーマ曲。1984年のアルバム「East Meets West」に収録。
オリエンタルで非常に趣のある曲調。
「EAST MEETS WEST」ジャケ |
・John Leach - 「War Lords」
1991年WCWでの大会 ”Clash of the Champions 15” でのvsレックス・ルガーで使用。
ライブラリーミュージック(業務用の音源)の老舗、De Wolfe Music Libraryレーベルより「From Other Lands」シリーズの16弾「No. 16: Japan And China」に収録の一曲。1984年作。
1989年に同じくDe Wolfe Musicが制作したアルバム「From Other Lands - Japan(DWCD 0061)」にCD音源として再録されている模様。
「From Other Lands - JAPAN」ジャケ |
・Hans Engstrom, Paul Osborne -
「Tokyo Takeaway」
2000年頃の末期WCWに参戦した際に使用。
初出はMatch Music Libraryのライブラリー音源「Destinations(品番MAT 115 CD)」の1曲。ユニバーサルプロダクションミュージックのサイトから視聴可能です。
日本では後年発売されたコンピレーションアルバム「WORLD WRESTLING THEME LIBRARY 2」に収録。
「WORLD WRESTLING THEME LIBRARY2」ジャケ |
・Wu Bai&China Blue -「王道」
2008年台湾遠征での武藤・曙・カズ vs TARU、ゾディアック、“brother”YASSHIにて使用。
台湾の人気アーティストである伍佰(Wu Bai)と武藤選手が友好関係にあることから実現。
実際の入場ではCD音源ではなく、伍佰本人によるライブ演奏に合わせて入場していました。
来日している、台湾の人気スター歌手で友人の伍佰(ウーバイ)に、知人に頼んで俺の自伝マンガ『プロレス・スターファイル 』をプレゼント。凄く喜んでくれたらしい!!…とは言っても日本語、読めねぇだろうな~(笑) pic.twitter.com/WIlQcJtbGl— 武藤 敬司 (@muto_keiji) 2017年8月1日
おまけ
・Hot Ice -「Friday the 13th Part III theme」
映画「13日の金曜日 PART3」のサントラより
1988年、プエルトリコへ海外遠征した際にスーパー・ブラック・ニンジャのリングネームで活動した時のプロモーション映像でBGMとして流れた曲。
当時の映像では入場シーンがカットされているものばかりで確認できないですが英語版Wikiによればテーマ曲としても使用していたとの噂も。
しかもプロモ映像では武藤選手本人のセリフが時折挿入されて中々味わい深い仕上がりになっています!(※1)
実際のプロモ映像↓
カラテ5ダン、ジュウドウ7ダンダ!
橋本真也
・竜童組 - 「The Kamui」
笹崎伸司(サムライ・シンジ)選手とともにCWAに参戦時に使用したテーマ曲。当時の橋本選手のリングネームはショーグン・マサムネ。
1月ではライブラリー楽曲感のある詳細不明曲で入場していましたが、2人のスタイルにあわせてか2月のvsジム・マクファーソン・アラン・レイノルズ組(Jim McPherson, Alan Reynolds)よりこちらのテーマ曲に変更。
上記動画2:14~辺りから使用(CD音源では1:57~)。
当時の橋本選手
バンザァァァイ!
・The L.O.X. -「Money, Power, Respect」
CWAの海外遠征から濃密な時を経て2001年、
フロリダで行われたNWA王座戦 vsスティーブ・コリノにおいて使用。
まさかのHIP HOPで入場する橋本真也という
違和感極まりない風景がアメリカで実現。
プレスリー派の橋本選手はどんな気持ちでこの曲を聴いていたのでしょうか。
蝶野正洋
・不明曲
1988年、アメリカの団体CCW(CWF)参戦時に使用。
参戦初期の2月は”ジャパニーズコネクション”としてタッグパートナーのマイク・デイヴィス選手のテーマである
Twisted sisterの「Lookin' Out For #1」で入場していましたが、4月の参戦時では蝶野選手の不明曲テーマが使用されました。
曲調は穏やかなオリエンタル風。
知っている方がいたら教えて頂きたいです!
当時の蝶野選手↓
オラェー!
・Christian Leroux & Daniel Darras - 「Pacific Zone」
Koka Musicレーベルのライブラリー音源を収録したアルバム
「Rock Machine (KOK-2019)」からの一曲。
1992年のWCWマットでの試合で使用。グレート・ムタとの日本人対決でもこの曲が流れていました。当時はリック・ルードを破りNWA王者として君臨するなど白蝶野として脂の乗った時期でした。
「Rock Machine」ジャケ |
・AC/DC - 「Thunderstruck」
1994年、CWAの年間最大規模の大会「Euro Catch Festival」におけるvsトニー・セント・クレアーで使用。
いわずもがなプロレス界ではゲーリー・オブライト選手の入場テーマとして有名な一曲。使用時期も被ってます(※3)。
収録アルバム「Razors Edge」 |
・David Hentschel - 「1000 Suns」
ライブラリー音源を多数制作しているAtmosphereレーベルが発表した
アルバム「Travelogues 1 (ATMOS-CD23)」に収録。
アルバム内には「1000 Suns」が同じタイトルで2曲収録されていますが、演奏時間が3:58のバージョンを使用。
「Travelogues 1」 ジャケ |
1995年、いわゆる「黒蝶野」化してWCWに参戦した際に使用。
東洋の雰囲気をイメージさせるオリエンタルな楽曲なのでお馴染みの入場テーマ「クラッシュ」と比べると違和感がすごい。
WCWに参戦した日本人レスラーのテーマ曲の1つという位置づけらしく、蝶野以外にもウルティモ・ドラゴンを筆頭に複数の選手の入場に使用されています(※4)。
・James Swift - 「Tear It Up」
1997年 vsグレート・ムタで確認。
Powerhouse MusicのライブラリーCD「Rock The House」(PH-CD 002)に収録(当時のHPのアーカイブ)。
nWo軍団のテーマ曲の一つで、他のnWo所属選手もこの曲で入場しています。
おわりに
今回取り上げてみて感じたのはテンションが上がる曲よりも日本のイメージを重視したオリエンタルな楽曲が多く取り上げられていた点です。良くも悪くもステレオタイプ括りで選曲されている点を感じましたが、それだけに橋本選手のHIP HOPの異質感が際立ちます。
またライブラリー音源のアルバムは業務用ゆえに一般販売での入手は非常に困難。
中には公式サイトにアップされているものもありますが、CDなどの規格での入手はかなり難易度高いです。
欲しくてもオークションで全く見かけません。
次回も引き続き海外での日本人レスラーの入場曲についてと取り上げる予定です。お楽しみに。
※1
元ネタ(当時のインタビュー映像より)
※2
映画「カムイの剣」(1985)サントラ収録の
竜童組 -「カムイ伝説」(新日本プロレス参戦時代)。
この曲を1stアルバム用に再録したものが「The Kamui」。
※3
1994年。
オブライト選手はUWFインター参戦時代に使用。
ゲーリー・オブライト |
※4
北斗晶、野上&馳組、エル・サムライ&安田忠夫が使用。