2022年、英国出身の外国人プロレスラー、ザック・セイバーJr.選手が日本のプロレス界のトップに立とうとしている。
史上最多となる48人のトーナメント制となったNEW JAPAN CUP 2022に優勝し、来る4月にオカダ・カズチカと『IWGP世界ヘビー』のタイトルを賭けて試合に臨む。
彼の武器はテクニックに裏打ちされた難解なフィニッシュ・ムーブの数々。そこには彼の音楽の趣向が少なからず反映されている。
技名にはモグワイ、youthmovie soundtrack strategiesなどの曲名が引用されており、旋回式の技コンボには「ユー・スピン・ミー・ラウンド・テクノ・リミックス」と一文を追加するセンスをみせる。
それ以外にも彼のインタビューでは
「プロレスは音楽のジャンルみたいなもの」
『【無料公開!】「俺とオスプレイがしていることは、全然違うように見えてじつはどこかで繋がってる」2.2札幌で激突! ザック・セイバーJr.にインタビュー!!』より
という表現を使用していたり、NEW JAPAN CUP2022の優勝後には
「最高のポップスターの一人であるジョージ・マイケルに捧げたい」
https://www.njpw.co.jp/card_result/345898 より
というユーモアに溢れたコメントを残していた。
これらのようにザック選手というレスラーを語る上で、音楽文化は切り離せない存在になっている。
ザックはかつて自身のTwitterで「#ZSJtrackoftheday」というハッシュタグをつけ、その日に聴いている楽曲をツイートで紹介していた。
「#ZSJtrackoftheday」は2011~2018年の間に数多く投稿され、ジャンルはポストUKロックをはじめ、アンビエント、テクノ、ノイズミュージックなど多岐に渡っていた。
ここで多く登場する無機質な楽曲や、穏やかな曲は、感情を剥き出しにすることが日常となっている現代プロレスリングの印象からは程遠いものである。これについては、プロレスラーというキャラクター性から離れた、ザック自身のパーソナルな部分が反映されているように感じられる。
英国発のプロレスラーとして異国の地で成功を収めているザック。彼の感性に触れた音楽の数々を振り返ることで、彼自身の思考や、ファイト・スタイル、そして今後の方向性が垣間見えるかもしれない。
以下が2011~18年に投稿された「#ZSJtrackoftheday」楽曲をまとめたプレイリストである。一部タグ付けされていなかったツイートもあるが、関連性が高いと考えてプレイリストに含めた。
#ZSJtrackoftheday プレイリスト
*2018年以降はザック自身がBandcampで自作プレイリストを紹介している。
At least it's only 18th months late! A list of music I loved from last year that you can purchase on @bandcamp so musicians don't need 300 million streams & the sale of a kidney to buy a sandwich.https://t.co/Clhib7EQa6
— ZSJ. Ⓥ (@zacksabrejr) March 13, 2019
some @bandcamp favourites from last year https://t.co/lxMf5jd41u
— ZSJ. Ⓥ (@zacksabrejr) March 3, 2020
ザック・セイバー Jr.発 音楽あれこれ
Velvet Pillow by Cremation Lily is one of most hauntingly lovely tracks I have heard all year. http://t.co/2YJyLSzP
— ZSJ. Ⓥ (@zacksabrejr) October 7, 2011
Cremation Lilyはザックのフェイバリット・アーティストの1人。ザックが愛用する複合関節技の名前に引用されている。One of my favourite tracks of the year. Headphones on! https://t.co/uJd0s8SZmX #ZSJtrackoftheday
— ZSJ. Ⓥ (@zacksabrejr) July 28, 2018
@fergaldevitt Beautiful. http://t.co/Db1tWtIg
— ZSJ. Ⓥ (@zacksabrejr) July 30, 2012
I just want to watch this on repeat @maxcoopermax https://t.co/jsXWhBsxxc
— ZSJ. Ⓥ (@zacksabrejr) October 25, 2018
Yes! I Am A Long Way From Home. http://t.co/Z2bMdhm0
— ZSJ. Ⓥ (@zacksabrejr) September 3, 2012
RIP youthmovies. one of my favourite bands. hurrah! is a perfect record.
— ZSJ. Ⓥ (@zacksabrejr) December 29, 2009
youthmovie soundtrack strategiesもモグワイ同様に作品名が必殺技の名前に引用されたが、それが『Hurrah!Another Year,Surely This One Will Be Better Than the Last;The Inexorable March of Progress Will Lead Us All to Happiness』とあまりに長すぎため、プロレス界でちょっとした話題になる。Youthmovies were incredible tonight. End of an era. thank you for the years of awe inspiring music! Happy now, sad later
— ZSJ. Ⓥ (@zacksabrejr) March 27, 2010
Oh and by the way, my new @wXwGermany theme is Joy Orbison - Hyph Mngo. I couldn't give a toss if you don't like it.
— ZSJ. Ⓥ (@zacksabrejr) October 10, 2013
Joy Orbisonは2015年頃からザックの入場テーマ曲に使用された。ザックのツイートやプレイリストには度々彼の楽曲が登場する。
For me @idlesband are untouchable right now. My favourite band in the world. pic.twitter.com/CcQY2sI5DC
— ZSJ. Ⓥ (@zacksabrejr) May 31, 2019
I AM DENNIS SKINNER'S MOLOTOV.
— ZSJ. Ⓥ (@zacksabrejr) September 8, 2018
Blown away by this on every listen. One of the most important records in a such a long time. Nothing else is fuelling me more than @idlesband right now.https://t.co/8R2Ano5980
Idlesはザックが紹介するアーティストの中でも一際破壊的な音を響かせている。ザックは彼らのファンのようで、ライブにも足を運び、入場テーマ曲として「MOTHER」を使用した。
My friend Luke Carlisle directed this really great short combining two of my favourites (Djrum & Pro-Wrestling) Can we have more crossovers please @randsrecords? https://t.co/y1qSt36CGO
— ZSJ. Ⓥ (@zacksabrejr) October 21, 2018
ザックの友人であるルーク・カーライル(Luke carlisle)がMVを手がけた作品。
プロレスラーを題材としたドキュメンタリーチックな内容。
ザックはこの世界で生きている。
ザックは以前、EVILのことを「ヤツはエバネッセンスだ。おれはスージー&バンシーズだ」と言ってましたね! 記者に向かって「お前たちはブライアンイーノを知ってるか?」と言ったこともある。
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